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2011年9月

2011年9月30日 (金)

今月のまとめ(H23/9)

9月もわりと豊作。嬉しい悲鳴といっていいレベル。正直、嬉しくないけど。

山がわたしを呼んでいる!
メディアワークス文庫 浅葉なつ著
帯で全部想像できるとおりの内容でした。いあまあ普通に読めるけど。山初心者女子大生が間違って山小屋でバイト始めて口悪い男と何やかや。そして山大好きな自分に目覚めて閉幕。どこまでもベタです。そういうのが好きな人なら。
難をいうと、登場人物の名前が分かりづらいのがやや苦しかったかも。人数多いわけでもないのだけど、主とか山猿とか山伏とか後藤とかヒロとか呼称が混在してるし途中からやっくんだとか呼び方変えたり、お前誰だよってページ戻らされることしばしば。山男ってことでおっさんたちのイメージの差別化が難しかったです。みんな筋肉ダルマにしか見えん。
あと細かいとこだけど、セリフ割り込み時の鍵括弧切りが句点終了してる表現も違和感を感じ。新しい表現といえなくもないけど、多用されすぎて逆に目立ってたのが。たしかにリーダーで切る場面じゃないってのは理解できなくもないのだけど、しっくりこないなあ。
今シーズンも1回くらいは山登りに行きたいな。もちろんこんな本格的な登山じゃなく、どうせ大山か高尾山程度だろうけど。紅葉紅葉。

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅣ
ハヤカワ文庫JA 五代ゆう著
キュビエ症候群の世界に顕現化してきたジャンクヤードの面々。ASURAボディで無双状態だけど人口物ということで人間扱いされない、と。それでもジャンクヤードでの成長をバックに大人な対応のサーフ。相変わらずかっこいいな。
ところで、ASURAボディの性能とジャンクヤードでの処理速度を考えると、もっと超速でデコードしててもよくね?とか思ってしまったり。現実に対してのfps合わせが神過ぎるよ。世界が止まって見えてもおかしくなかろうに。
この作品の軸は誰かを輝かせるために誰かが引き立て役になってる構図が非常に顕著で、毎巻誰かが誰かをかっこよく見せるために裏面でのがんばりを見せてくれてるのがよかったのだけど、今巻は引き立てるために違うベクトルを見せるんじゃなく単にかっこ悪くてスポットライト側が普通に注目されてただけだったような感じで、ちょっと物足りなさを感じました。1巻のヒートや2巻のルーパのように、シン・ミナセやマダムにもああいう感じが欲しかったなーと。
それでも各キャラの心理描写なりは緊張感あるし、キュビエ症の謎なり人間や人外がどうなるとか気になることだらけなので、次回最終巻に期待しないわけにはいかないのです。何となくシエロが君臨しそうな気もする。若い世代が背負って立つ締め方が無難ぽい。

僕と姉妹と幽霊の約束
このライトノベルがすごい!文庫 喜多南著
このラノ大賞優秀賞。
ブラコン3姉妹に囲まれて女性アレルギーなクロくんカワユス。シスターズも。鬼山田さんカワイソス。この作品での幽霊の定義ってゴーストよりもスピリットに近いかなー。紫音、最初からそれっぽかったしね。短編の積み重ねで最後に収束する進行も、納得できる形で綺麗にまとまってたと思います。個人的嗜好では放送室だけ余分だったけど。まあそんな感じであとがきにも好感持ちましたので次回作も楽しみにしてみます。
まったく無関係だしシチュエーションも違うのだけど、そこはかとなく「地獄への疾走」を思い出しました。知ってる人は同世代。

白奈さん、おいしくいただいちゃいます
電撃文庫 似鳥航一著
料理とギャグ、料理とハードボイルド、料理とラブコメ、料理を題材にした作品はやっぱり身近で使いやすいですか。でも料理は実のところどうでもよくて。美味しんぼと同様の視点。むしろ包丁無宿。かなり無理筋の展開だけど、それが料理を題材にした作品の定番なのでしょう。それが成功してるかというと微妙な感じ。基本骨格ができてないんだよなあ。あとあとがきのそれに賛同できません。赤座だけはいいけど。
白奈:ギアラ
未百合:レバ刺
血倉:たまねぎ
赤座:シロコロ
こうだろ。血倉も肉限定でというならハチノスあたり。メイン肉部位みたいなキャラは1人たりとも存在してません。

シースルー!?
電撃文庫 天羽伊吹清著
神様のいらん気まぐれで何やかや。そういう意味では笑わない猫に近い作品か。あっちとちがって完全にエロコメだけど。
幽体とボディスワップのシーンの切り替わり時の表現がわかりにくくて話が見えづらいのをどうにかしてほしかったり。

美少女を嫌いなこれだけの理由
このライトノベルがすごい!文庫 遠藤浅蜊著
このラノ大賞栗山千明賞受賞作。当人よりも何か偉そうに聞こえる賞名が何か笑いを誘うけど、菊池寛賞みたいにふんぞりかえった賞よりはいいか。
先ず。この作品における美少女は、美少女という種族であって一般的にいう美少女を指しません。どういう経緯で共生生活ができあがったのかよくわからないけど、仮想進化にせよ外宇宙エイリアンにせよ、これは立派にSFといっていいのではないかと。
主人公が美少女の父親とヒトの母親とのハーフってところからしてもう。美少女にも性別があるので、彼とか彼女とか使い分けるべきではなかったろうかと思ってみたり。美少女的には性差はあまりない模様だけど。もしかしたら登場美少女みんな男性かもしれない。
というセカイでの美少女の扱いを描いた作品。ある意味日常系とでもいうか。でもま、新鮮なセカイでした。惜しむらくは五郎八の背中の紋々の挿絵は欲しかったです。
で。タイトルは何を嫌いでどんな理由だったんでしょうか。

白銀ジャック
実業之日本社文庫 東野圭吾著
読まなきゃなーと思い続けて早10年超。1冊も読んだことないよとかそんな話題があって、友人から面白くもないけどはいどうぞと渡されたこれをようやく読んでみました。
サスペンスとしての心労ストレスはあまりなくトリックも概ねレールを外れなかったけど、読みやすい文体で、やっぱり売れっ子作家さんなんだなと確認できたので、当面の目的は達せり。東野初心者の自分にはちょうどよかったのかも。スキーもスノボもやらない人ですけどね。
ただ、ラノベにどっぷりな近況から、エンタテイメント面において物足りなさを感じてしまう自分のボディが恨めしかったり。

彼と人食いの日常
GA文庫 火海坂猫著
うしおじゃないのととら。GA文庫大賞奨励賞受賞作。GAなので賞自体はあんまり信用してませんが。
自己中な主人公だなー。思春期って難しい。まあこんな状況におかれたら隠者になるしかないようには思うけど。でもデメリットなんかほぼないし恵まれすぎだよ、十夜。大体あの場面で、封印解いて出てきていじめっこと契約されてたらどうなってたよ。
ちょっと寓話っぽくて、GAとは思えないほどに素直に楽しめました。めでたしめでたし。

いもうとがかり
MF文庫J 月見草平著
姫宮さんの中の人のコミックだけ1冊読んだことがあったっぽ。着ぐるみ物でしたっけうろ覚え。
電波とバカが戯れるBMG。何が木星だったんだろう。あえて木星にすることでツッコミでも待ってるとかそんなんだろうか。翔太も理系といいながらバカそのもの。いあ、そういう演出として書かれてるのは分かりますが。
微妙に格好付けつつハズしてる寒さの目立つ文章も、好みではないけど破綻してるほどではないし、それを好きな人もいるのだろうし、テンポや間の取り方、キャラポジションはこれでいいので、プロットの作り込みと組み合わせだけがんばってほしーなーと。
東大大学院がどうとかwikiにある背景含めて想像するに、ターゲティングまで含めてのこういう手法確立な作風なんですかね。うーん。

変態王子と笑わない猫。 4
MF文庫J さがら総著
3巻で切るつもりでいたけど、21日、台風で帰れなかったので上2冊と合わせて3冊、暇潰し用に品川あおいで調達して読みました。
やっと鋼鉄王の表紙。2巻でやっとけ。内容は短編集。外伝だけでなく0話もあったのはよかったし、リリックというほどでなくともライムを気にして言い回しとか頑張ってる作風は嫌いじゃないんだけど、MFのスタンスとか人気が人気なのでますます読む気が失せます天邪鬼。
それから今回も一応言っておきますね。猫は?

噛みつけ!アンノちゃん。1 あなたのハートいただきます
富士見ファンタジア文庫 小林がる著
七次元生物というか、非生物じゃないかと。味で思考を読むどころか言語化されてるのが、ちょっとばかり新鮮かと思わないでもないけど、まあ普通の浪花節BMGでしたといったところで。となるとキャラの魅力が大事なのだけど、型どおりな彼らはどこまでも普通なのです。ラノベ的に。そういう意味では安心して読めるのかも。クウが次巻以降で活躍するかな。でも読むかなあどうかなあ。

はじめてのクソゲー
電撃文庫 麻宮楓著
摩訶摩訶は有名ですね。アトランチスの謎は言われてるほどにはクソゲーだとは思いませんが。メインのPS2のインフィニットダークネスは元ゲーわかりません。PS2持ってないし。想像するに、穴に落ちるとかいうからには3Dでフィールド歩き回り、戦闘はコマンド式、ストーリーがつながってないけど一本道のJRPGといった形態か。やるわけないな。
前置きを鵜呑みにするなら、クソゲーだってダシにして女の子と仲良くなれればリア充だよとでもいうか。ゲームどうでもよかったな。
ユッキーはクソゲーも含めてゲームを好きなんじゃなく、普通のゲームに興味がなくてクソゲーだけを好きというのが見え見えなので、読んでて非常に遺憾でした。おれも単なる大作には惹かれないけど、それをレールがどうだとか言わんよ。すこぶる厭味なヒロインだな。それに流されるもジミーユも魅力薄。
ゲームを題材にしてる作品は基本甘めに見てるけど、そういうわけでこの作品は嫌いです。作者にはゲーム愛について見つめ直してもらいたいところです。

泳ぎません。
MF文庫J 比嘉智康著
P54、P157、P192の挿絵が印象的。こういうのもアリか。
よくいる女子高生。人間として最底辺に位置する存在をクローズアップ。それでいて肉体的には反比例するから現実には困るというか。が、小説に女体も何もあったもんじゃないので、イライラしながらその生態描写を読むのです。
美少女バイキングはそれほどゲスか?願望を学校放送に投稿しただけで。高嶺の花に好意を寄せて付き合いたいと言ってるだけで、あれやこれやどうこうしたいなんて一言も言ってないのに。それを蔑むお前らのがよっぽど下衆だろ。あまつさえそれを公開処刑する神卵。何だろね、こいつら。もうね。
以上、内容にはまったく共感持てませんでしたが、文章は読みやすかったです。もちろんこんな連中の日常をもっと読みたいなんて気はさらさらないので続刊があっても絶対に買わないけど。

だんない! 優希、しっかりしまっしま!
スーパーダッシュ文庫 市川智士著
パラレル異世界IF物妖怪物という非常に突飛な設定だけど、このくらいはまあラノベなら想定内。てか60年代相当というなら新幹線や交換局もXBではなくともA型くらいあってもいいと思うの。劇中を想像するに19世紀末くらいの技術力という方がしっくりくるかなあ。てかジープって何さバギーじゃなくてまんまジープかよ。
金沢弁わからないし、作中で使われてる語彙も少なくて、巨匠の時代小説を読んだときのような臨場感があるとは言えないけど、作者がんばって書いたんだろうなというのは伝わってきたので、好ましい感じではあったり。でも息災に元気とルビ振る必要まではないんじゃないかな。そのうち石川出身の知人に読んでもらってみよう。

俺は彼女の犬になる!
MF文庫J 淺沼広太著
年初に酒多さん1巻を読んでうっちゃって、それ以来。
チワワってくぅーちゃん登場前はそんなにいなかったよなあ。自分がトリマーやってた時代にはチワワなんて1日1、2頭入ってくるかどうかのマイナー犬種だったよ。生活上手なんて地味なCMじゃさぞ客もこなかったろうな。犬欲しさに消費者金融なんか使うやつなんかいたんだろか。しかしここまでチワワが流行ることになるとは。ま、どうでもいい。
淫魔の生徒会長は可愛いと思います。NTR属性な変態の自称妹もそれはそれで。
濃いはずなんだけど、あっさりしてるというか。テンポも悪いわけじゃないし、色々と他作品をネタにしたりもあるし、クスリとできるポイントは多いはずなのだけど、記憶に残らないタイプの作品だなあ。多分1週間もすればタイトルさえも忘れてることでしょう。

上記15冊+下記12冊で27冊。今月はちょっと減らせばよかったな。ペース苦しかった。こんなんじゃせっかく面白いと思った作品を再読する時間も取れないや。

"夕顔" ヒカルが地球にいた頃……2
大奥のサクラ 現代大奥女学院まるいちっ!
約束の方舟 上/下
わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 3 ラブメイドですが何か?
らぶバト!俺が指輪でハメられて!?
モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)
なれる!SE 5 ステップ・バイ・ステップ?カスタマーエンジニア
ストライク・ザ・ブラッド 2 戦王の使者
妄想ジョナさん。
俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 3
俺の彼女は飼主様、妹はご主人様

近年稀に見る当たり月。まだラノベ暦1年ですが。しかも一迅社もガガガもまだ1冊も読んでないや。伊藤ヒロ新作とかあったし読まなきゃなー。
それにしても今月1冊選べっての、結構きびしいです。完全新作だけでも、大奥のサクラ、偽俺妹、このラノ賞3冊あたりは普通に読めるし、続き物も、夕顔、SE、ストブラ、俺修羅、アバチュー、変態王子、etc。今月はハズレを引く方が難しいんじゃなかろうか。これだけは読むなっての選んだほうが早いよ。どれかは察してください。
まあストブラ2巻ですかねー。三雲氏の安定度高いです。というか1番王道。まさにお手本。ラノベかくあるべし。
こうも読むものが多くなると、電撃やら発行の多い続き物を読んでる連中はそんな時間あるのか小一時間問い詰めたくなります。世の中のノベルスキーは毎月100冊とか読んでるんですか。無理なんですけど。

アクセスは表示法わかったので表に出してみました。前半はパーフェクトフレンドがトップ独走だったけど逃げ切れませんでしたね。てか本当にブラックブレット強いな。成分的に分からなくもないけど、そこまでかなあ。個人的にはハンドガン以来、絶賛暴落中なんですが。まあ来月2巻出るしそっちで取り戻せるか見処。SEの追い上げはトラックバックですかね。個人的には楽しんでます。ストブラは非常にバランスよい作品。アニメ化も期待したいくらい。アスラとかダンタリアンみたいにならないことを祈りつつ。ラノベじゃないけど相変わらずのリリアさんの安定っぷりも。

そして今週発表されたKindleFireにどうしても興味が向くのです。場所取りすぎだ、この本の山。EPUBとの互換が進化しさえすれば日本語でも問題なくなるはず。早く日本にも電子書籍が浸透してほしいものです。

俺の彼女は飼主様、妹はご主人様

富士見ファンタジア文庫 マナベスグル著

登場人物の視点を入れ替えて、テンポよく見せてくれる作品。
主人公その1、蒼斗。危機察知の異能持ち。作中ではわりと常識的。いあ、最初はおかしかったな。妹に追い詰められて後半では異常さを発揮してる暇がなかっただけか。
緋香里。蒼斗の妹。感情を読み取る異能プレイヤー。極度のブラコン行動派。推して知るべし。
主人公その2、颯太。裏の世界で調律師という名の何でも屋をやってる貧乏っ子。背景がないのでよくわからじ。ちょっとアタマ弱い描写。でもまあいい子。
ヒロインその1、琴音。蒼斗、颯太と幼馴染だけど、3人の再会は入学してから。実家のサーカス団所属でナイフ使い。無駄に京言葉でキャラ作ってるのは健気といえるか。
ヒロインその2、楓。存在感薄い子。そのパッシブスキルで裏の世界で大活躍してる模様。アクティブスキルとしてピッキングも所持。珍しくお嬢様よりもこっちのが個人的お気に入り。
ヒロインその3、咲。お嬢様で博徒。颯太の前の仕事の護衛対象。そこから颯太好き好きに。名前からして嶺上開花に特化してるはず。多分。
柳田。忠誠度100のじい。セバスチャン呼ばわりも、日本じゃハイジ的に仕方のないこと。最近も黒執事のせいで。
五十嵐。クラスの担任。生徒指導も担当。常識人なのに可哀想な巻き込まれキャラ。決断力ないから離婚しちゃうんですよ。
マコッちゃん。クラスの副担任。五十嵐ヲチが趣味。悪気はなくてもコトをややこしくしてくれるトラブルメイカー。作中のズレを楽しむ上での超重要キャラ。
理科雄。ジェニファーを愛する狂気のマッドサイエンティスト。犯罪に肝要な世界だなあ。爆弾で人助けしてたり結構間がいいやつ。
ジェニファー。イルカのホルマリン漬け。借りてた学校に返さなきゃいけないけど理科雄が離してくれない。
オーナー。調律師協会の仕事をまとめてる人。依頼されたり依頼割り振ったり。その対応の速さと電話のタイミングは仕事のできる男のそれに違いない。
その他エキストラ。ジェニファーを引き取りに来た教員は災難ですね。

このキャラたちが本当に噛み合ってない様、そのズレを楽しむ作品とでもいえばいいか。そういうブリティッシュコメディ的な匂いがあるのがとても好みです。あとがきで作者曰く青春群像劇となってるけど、スルーです。違うから。そんな売り出し方したら誰も評価してくれません。これはスラップスティックコメディです。ドタバタをこそ楽しみましょう。

産まれたての小鹿とか象の発情とかハムスターの共食いとか、気の利いた言い回しを的確な場面で挿入してくるところもよし。バタフライエフェクトを無理やりねじ込んでるのもよし。
そんなよくできた文章の中に使い方のおかしな言葉が混じるとどうしても目に付きます。3度ほど出てきたかと思うけど、陳腐の言葉の定義が引っかかりました。ダメダメとかしょっぱいみたいな意味で使われてるよね、これ。こういうのは編集が赤入れましょうよ。この作家さんきっと育つよ。あとがきでも謙虚な人っぽいし、富士見として大きな仕事がきっとできるはず。今担当してることを天啓と思って気合入れて仕事することをおすすめします。

富士見といえば、富士見のくせに続刊予定で1巻に1と振られてないのがさらに好印象。それで正解。やっぱ1付けるな。ただのジンクスだとはわかってるけど、どうにも打率がねぇ。
それにタイトルもしっくりこない。句点の前と後ろで2人の主人公を表現してるのだろうけど、ヒロインがそんなポジションかというと絶対違うし、内容とも噛み合ってないし、韻も踏まれてないし、インパクトもないし、何より俺妹と略せるわけないじゃないかと。売れるタイトルじゃないよなぁ。今年の富士見だけで比べてみても、デトアラやカナクより2段くらい格落ちに見えます。内容は充分タメ張ってるのに。いっそ1と付いてないわけだし2巻は別のタイトル付けて、さらに何とかシリーズとか別名名乗ってしまうのがよいかも。これはサブタイなんだ、きっと。

何か文句ばかり書いてしまったけど、作品自体は本当にテンポのよいコメディです。2巻も楽しみ。がんばれー。

2011年9月29日 (木)

俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 3

関連エントリ。1巻2巻

限定版何それ?本屋で見かけませんでしたよ。amazonでまだ買えるぽいので欲しい人はそっちでも。自分はいいや。

かわゆいチワワ、サマーリバー、暁の聖竜姫、アイちゃん大勝利。四季揃い踏み。
2巻で秋がぶっ飛んでたので今回の冬は弱いなと思いきや、終盤でやってくれました。鋭太に被せてきたか。恥多きツンデレ。ラノベで追加キャラが強キャラってのはわりと珍しくなかろうか。しかもバナナ大好きなのですか。エロいですね。僕もジャンボバナナパフェ!

ということで、前回からの予想通りの風紀委員ちゃんでした。
見栄っ張りすぎるのがちょっと困り者だけど、この作品的にもっともバランスいいど真ん中ポジションだなあ。1st幼馴染登場でチワなんか存在意義まで脅かされてるよ。元々奴は四天王の中でも最弱みたいな扱いだったけど。残されたお隣さんというアイデンティティだけでどこまで戦えるのか。

3巻にしてようやく修羅場を見られてよかたです保健室。とはいえそれも真涼の掌の上。真涼も真那さえいなければペースを乱されることはないようで、今回は安心して見ていられました。やっぱ2巻がおかしかったんだよな。映画館での真涼なんか最高です。

面白さでいえば今回が1番だったかも。2巻のが姫香軸で話はしっかりしているけど、あーちゃんのが好みなので。

しかし夏の勝利は確約されてます。円堂守くんも証明してくれてます。

俺修羅GA 今日の格言「季堂鋭太くん、だいちゅきーーー!!」

2011年9月28日 (水)

妄想ジョナさん。

メディアワークス文庫 西村悠著

いますね、妄想の世界に生きてる人。自分にも中高生時代そういう友人がいました。うん、嘘偽りなく友人というポジションに。そんな彼はとっても挙動不審で、扱いに困ることもしばしば。それなりに仲良くしていたし、手を出したりしたことなんかもちろんないけど邪険にしてたこともやっぱり多かったろうし、相手からするとイジメられてたと思われてもおかしくなかったとも。卒業してから会わなくなったけど、共通の友人から後日聞いたところによれば、いつかウチに火を点けに行ってやるみたいなことを言ってたとか。言っちゃ悪いけど今でも彼がまともな大人になってる気はまったくしません。じゃあ自分がまともかというとごにょごにょですが。
仮に再会して友人面できるかといったら、まあできなくはないと思うけど。でもサシではやっぱり避けたいかな。心狭いんですよ、自分。

ということを思い起こさせてくれる小説でした。

妄想主人公。小説内では主人公視点なのでそれなりに秩序立っているけれど、ここまでいっちゃってる人を傍から見ると間違いなく挙動不審です近寄れません。だからあくまでも一人称視点で読まなきゃやってられません。が、それも現実逃避かなーと。妄想が高じたウサギの着ぐるみに傾倒するのも構わないし、冒険したっていいけど、あくまでも当人内部だけの話でしかなく。
挙動不審さえなければ、別に妄想癖あったって構わないんだけどね。別に電柱に告白したっていいじゃん。でも本人にとっちゃそれを他人に噂されるのが耐えられないことなのもよくわかるし。そういうもやもやした気持ちが膨らんで、いきなり暴れたり挙動不審になるのは仕方のないことなのかと。やっぱり扱いに困る存在なのです。

最後綺麗に終わらせてるように締めてあるけど、彼の妄想が治って社会復帰できるかといえば、そこは疑問。少なくとも在学中は電柱の話が消えることはなさそうだし、卒業してから数年見ても、順調でも30歳くらいまでは改善難しいんじゃないかな。その頃には手遅れ感も募ってネガティブスパイラルで引きこもってる可能性のが高いでしょう。対人スキルってそう簡単に手に入るものじゃないですよ。それ以前にこいつが大学に入学できてることが信じられないというか。高校時には発病してたようだし面接では普通だったのかと。ちゃんと病院行きなよ。

エグいんだよなー。どこが切ないんだか。ラノベとして評価するのは難しいです。メディアワークス文庫以外のラノベじゃ多分受け入れられない。メディアワークス文庫でもきつい。どういう人にお勧めすればいいか、非常に悩ましい1冊でした。むしろお勧めできません。一切の三人称視点を排除できるスキルをお持ちの方ならいけるかも。

2011年9月24日 (土)

世界侵略:ロサンゼルス決戦

久しぶりの映画。久しぶりの小田原コロナ。

海兵隊万歳映画。宇宙人はあれはきっと人型なだけで宇宙人じゃないに違いない。司令部やらも。外宇宙から侵略してきて人間視点で戦うインベーダーさんに萌えるといいんじゃないかな。まあハリウッドぽく家族愛は織り込まれてるので、カットごとには見れるんじゃないかと。全体的には破綻してるけど。
うん、つまんなかったです。

小田原コロナ、できて9年くらいだけど、年々サービスの劣化が見て取れるのが悲しく。オープンしたときは神のようなシネコンだったのになぁ。
長期休暇や週末のオールナイト上映はなくなったし、ポップコーン(バター)もなくなったてバター醤油になっちゃうし、経営的には仕方ないのはわかってるけど、やっぱり当時を思い出すに残念で仕方なく。

今回一番の評価点はそのポップコーン。デフォの塩がバター風味強くなってて、結構美味しかったです。でも100円増しでもいいからやっぱり以前の熱々の溶かしバターが欲しいです。今後に期待するとしましょう。
あとは週末だけでもいいから深夜上映やってくれたらなー。昔みたいに夏休みのナルトを朝4時に上映するような真似まではしなくてもいいですから。観に行かないレベルと観てもらえそうなレベルの線引きだけちゃんと引いておけばオールナイトもできなくはないと思うの。とはいえ今年の天災でしばらくはきついかな。

2011年9月14日 (水)

ストライク・ザ・ブラッド 2 戦王の使者

電撃文庫 三雲岳斗著

個人的に今の電撃で一番楽しんでるタイトル。アニメに恵まれてないのが不憫だけど、この人の文章好きです。そこここで聞く禁書似ってのは設定的にはまあ分かるんだけど、文章のレベルはまるで違うと思うのです。日本語なら禁書も読んでもいいんだけどさ。鎌池語は自分にはちょっとキツイんですよ。日本語訳が出たときにでも。

段々と世界が広がってってます。忘却の戦王の存在が匂ってきました。いいですね。この地盤のしっかりした設定が、どんなストーリーでも受け止められるボディというか。この島でなら何やっても楽しくなるんじゃないかと思えてしまうほどです。
その上で異能から二つ名まで用意されてる厨二全開なキャラクターたちの魅力。雪菜も紗矢華も那月ちゃんも凪沙も浅葱も、ついでに古城も。矢瀬もまあ。こうしてキャラ名並べてみるとたしかに典型的な異能物のラノベだなあと再認識。大事なことを2回言う中学生嫁はもとより嫁溺愛の愛人も素直に出れないハカーもロリクール先生もそれぞれキャラが立っていて。でも那月ちゃんもそのうちアホの子になるに8000ジュドル。これであとは挿絵がちゃんと描き分けられてたらなあ。

敵側にしても、1巻のオイスタッハもそうだし今回のクリストフ・ガルドシュも、しっかり描かれてるのがこの作品のいいところ。敵をかっこよく見せるのって大事ですねと。
しかしヴァトラー定着は予想外。おかげで今後の敵がもっと強大になることが間違いないわけで、今後のインフレが不安です。まだ2体しか眷獣いないのにね。さっさとバブルにしてお話締める方向で考えてるのかな。間延びするよりはよっぽどいいけど。

1巻よりも後日譚は綺麗にまとめられてたし、今後も楽しみです。でもあとがきで死亡フラグ宣言はどうだろう。キスか。キスだしな。それでそこまで背負わされちゃうの。可哀想に。吸血鬼物だし死んでもどうにかなりそうだけども。

心残りはP49の脱字。何でその台詞のその文字がピンポイントで抜けたのかしら。

2011年9月13日 (火)

なれる!SE 5 ステップ・バイ・ステップ?カスタマーエンジニア

電撃文庫 夏海公司著

話が大きくなりすぎた前巻から原点回帰、現場に戻ってきました。現場というからにはさらに下のレイヤまでやってもらってもいいと思うんだけどね。5P、10Pのドラムをひいこら転がして、埃まみれの天井に潜り込んで、示名条付いてねー、配線通す隙間ねー、転がし工事で配線ぐちゃぐちゃ、やってらんねー、みたいなドカタ系の話も。きっと楽しいよ。主におれが。

ありがちなトラブルに巻き込まれて大変な様子だけ空気を感じられれば。トラブルの内容自体はどうでもいいので。大事なのはネットワークよりブルドッグよりラブコメパートです。もちろんブルドッグさんに喜んでもらえてドヤ顔できたのは重要ですけどね。
休暇の予定が仕事になって、出張先で梢に誘われ、トラブル先でも立華がフォロー、リア充爆発してもいいぞ。工兵もそんなにかもめがいいのか。あんなに黒いのに。しかしこんなにひどい環境のスルガでも彼女らがいるだけで、手取り17あれば我慢できそうです。手取り15切るといわれたら苦しいかな。おそらく工兵は新卒でも25くらいはもらってそう。充分モチベーション維持できます。もちろん現実には女の子に囲まれるシチュエーションなんかあるわけないので、少なくとも30はよこせという気分でしょう。4巻みたいな仕事までやらされるなら50はよこせだ。それでも妻帯者ならこんなところで働くな。藤崎さん悲惨。

いつものように立華も何だかんだで面倒見いいし、護身用靴下を振り回す妹もお茶目。実家に連れてったフラグはきっと大きな展開。
でもこの巻での真のヒロインは姪乃浜梢でしょう。中盤以降出番なしと、報われてないのが可哀想です。しかしかすかな希望の光も。つい先日の矢吹神の瞳に映るそれに比肩する画期的な手法です。違うけど。登場してないのに登場してることになってる表現の確立として。ということでもちろん話の裏できっと静岡までサーチしてますよね。実家バレどうする工兵。がんばれ姪乃浜さん。

お土産のカレーラムネ、アキバアイテムかと思ってたけど元は静岡でしたか。これはいい豆知識。でも駿台からアキバなんてすぐだし、いつでも買いに行けるよね。

そして他人事でなくリアルで、来月から設置が始まる大型案件の設計をしなきゃいけないのだけど、まだお客さんが何やりたいのかさっぱり詰められてなくて、おれが工兵だよどうするよ。話が入ってきたのはもう4ヶ月ほど前なんですけどね。以来ほとんど進展ないのにスケジュールだけ迫ってきて。VPNワイド数百拠点の調整をルーティングもフィルタもプロトコルも不明なままであと半月でやれって超いやんな感じなんですけど。誰か代わってください(´・ω・`)

モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)

このライトノベルがすごい!文庫 谷春慶著

第2回このラノ大賞受賞作。サイコラブコメとでもいえばいいか。この方面でお話としてそれなりにまとまってたのは初めてだったかも。結構新鮮気分で読めました。このラノ文庫も実は初めて。

ビョーキというより本当に病気な主人公、望月砕月。望みを砕くってすごい名前だな。Planar ChaosのDash Hopesを彷彿とさせます。黒信者のおれ歓喜。この作品に合ってる名前だし、少なくとも音相や語呂重視による意味不明な当て字より好感度高し。
この子が女の子を見ると無意識に口説く発作で世界がかき回され。去年からとかく話題になったウッズや大島優子の病気みたいな。相関関係以前に環境がおかしいのをどうにかした方がいいよ。主人公らしくデバッガとしての能力を持っているものの、バグが次々生まれてるのはこいつのせいだろうと。マッチポンプめ。
タマにペシミスト扱いされてるけど、砕月自体は悲観主義というよりもニヒリストかなあ。死ぬ死ぬ言うのは病気の流れの上でだし、破滅を望んでるというよりもむしろ楽観の上で死んでもいいや的スタンスじゃないかと。というか死ぬつもりもなく話術でそこから将来をどうしようかの基準で動いてるし。陰惨な過去がそうさせるというエグさを表現したいのだろうけど、あの過去からねじれることはあるとしてもむしろまっとうに育ったと思うし、そもそもこの発作にはつながらないでしょう。何かにつけて小難しい主人公だな。

あんまりメインヒロインの様相を見せないけどおそらくヒロインの柱であろうタマ。空から降ってくる系人外のウィザード。デバッガの力を借りてバグを狩るのだけど、ほとんどゲーセンで遊んでたりチクチクと砕月にイヤミ言ってるシーンばかりで、物語的には必須なのにポジション的にずいぶんと役立たずな印象。お前は修羅場を作り出すためだけにいるのかと。たしかにその修羅場こそが作品の軸といえば軸ですけどね。
タマがそんなちょっとポジション的に女の子でないキャラなので、元カノの2人が重要なポジション。巨乳先輩と美少女同級生。冒頭で一度は結末を迎えつつも、感情が器から溢れんばかりというか溢れまくってて、泳げないのにプールに行っちゃういじましさといい、監禁して首輪なんて壊れっぷりといい、どっちもヤンデレかわいい。ホント、防御薄いね。砕月に騙されるよ、そりゃ。
バグのハピ子やブリュンヒルデもわりにいい扱い。死ぬと美化される法則。紅葉姫だけはあんまり相手にされてなかったな。可哀想に。星熊勇儀方面できっと需要あったよ華のさかづき。
ついでに幼馴染同級生と義妹義母も。幼馴染はまあ軸足ブレてないし、家庭環境も2巻以降で語られることになるのでしょう。結構宗助もキーになってきそうで、二次元住人であるところのそれがふんだんに発揮されるとよいなあ。

つくづくラノベというプラットフォームがもったいない作品でした。充分面白かったけど、やっぱり魅力を目一杯引き出すためにはエロゲであるべき。個別ルート必須です。

2011年9月 9日 (金)

らぶバト!俺が指輪でハメられて!?

HJ文庫 瓜亜錠著

ドラマCDからメディアミックス展開で売る気満々のEDGE RECORDS。重版も早々に決まったそうだけど、ホビージャパン大丈夫か。

女の子が可愛く見えないわけじゃないし、厨能力でバトルするのも別に構わないし、主人公が緊張感なく鈍感てのも普通だし、どこまでも教科書どおりで要するにマンネリで倦怠感を誘引されます。基本はそれでもいいけど、そんな中で何かこれはと思わせてくれる要素がないとやっぱり面白さを感じられないのですよ。
というくらいには面白くありませんでした。まあ、面白いつまんないは別として、女の子自体に魅力がないわけではないので、アニメ化してその出来次第ではブヒ成功の目がないとは言いませんが。ISみたいな先例もあるし。

それはそれとして。

原作にTRISTAR関わってるの?このペンネームも…ザンギュラ?作者紹介には長崎出身と。あとがきには「っぺれ~」の一言さえも。ここまで証拠が揃っちゃ見なかったことにはできねっす。ラノベを読んでるつもりが、実は猛者通信を読んでいたというわけですね。
うーん、そのうち機会があれば問い質したいと思います。忘年会のときにでも。いつの間にラノベ作家デビューとかそんな話になってたのやら。

そんなわけで個人的にあと5冊くらい買って布教活動に努めることにしますよ、んもう。

2011年9月 7日 (水)

わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 3 ラブメイドですが何か?

ファミ通文庫 やのゆい著

2巻での無能っぷりから一転、大活躍の高柳。妄想あすみ出さないなら出さないで思春期らしく理想の女の子くらい願えばいいのよ。

前半の仲居ちゃんパートでタイトルのそれ。別にメイドどうでもいいよね。まあ妄想カナが頑張ってるしタイトルはいいや。勤務中スカート非着用ってのだけは意味不明だけど。むしろほぼパジャマな外着ってのが気になります。ここは全身像の挿絵が欲しかった。
ということでセンスのない仲居ちゃんのためにお買い物。ここで高柳の出番。この妄想少女からして、高柳のセンスはいいんだろう。さぞ研究してるんだろうな。実はむっつりか。でもだったら今まで妄想少女が出現してなかったのは何でだ。想像してはみても、あすみには似合わないしー、みたいな感覚なんだろうかな。で、今回出現したお前は本当に空想の産物なのかと。卵が先か鶏が先か。
がしかし、イメチェンの結果も討破れ。それにしても川上と仲居ちゃんの後ろ向きっぷりはなあ。中学生の視野の狭さなんてこんなものかもしれないけど。ちょっと話せばいいだけなのに。すれ違いって怖いね。
気になる卑屈のタネになってる川上家は、架空の地名とはいえセタガヤなんて立地で1LDKが45000円という良心的家賃。社宅かな。ナカイ不動産の業績が赤なのは本業以外の部分に違いない。川上、婿入りしてしっかり立て直せ。道筋は見えてるし大丈夫でしょ。10年持つかわかんないけど。

ま、そっちの2人はダシでしかないのですが。しかしあすみ、アホの子なのに相変わらずアタマいいな。思春期ゆえの動揺も中2らしくていいんでないかい。リアルに考えると、クロック速いのにメモリが少なくてキャパシティ溢れまくってすぐハングってパニクる子ってのは、将来ヒステリになるのが火を見るより明らかなのであまりオススメできないのだけど、まあ高柳になら押し付けてもいいだろ。

この展開だと次巻あたりで完結するかな。利沙その他手付かずで終わっちゃうかもだけど、別に終わっていいというか。さっさと逃げ切れ。そんな展開を願う自分です。まさか延々と高校大学までひっぱってくっつかないとかありえないでしょ。とってもテンポのいい作品なのでぜひテンポのいいうちに締めてもらいたいものです。

2011年9月 6日 (火)

約束の方舟 上/下

ハヤカワ文庫JA 瀬尾つかさ著

延べひと月ほどかけて読了。我ながら遅かったな。あまり一気読みしたくなる作品でなかったという面はあったかも。2冊で3部作という中途半端な構成も何というか。同時発売だからそれほど不具合はないけど、3冊でもよかったんじゃ。多分本人そのつもりで書いてそう。

第一部。宇宙船で移民計画な物語。謎の侵略者ベガーとの戦争から15年後、その背景説明。シンゴ、テルを中心とした親ベガー的戦後世代と、戦争を経験した反ベガー的旧世代の対立の構図に、船の疲弊を絡めて社会の様相を描写。
一部の柱はシンクの天才テルがみんなの中心に存在している一点。そのテルを支えるシンゴ。子供はテルにカリスマを見出すし、大人も仕方なくベガーを受け入れてるという状況。大人が本当に大人だなあ。影薄いけど。ベガーがいないと成り立たない中で、ベガーとの共同作業でポイント貯めて子供も自立して生活できるこの世界観はちょっといい感じです。子供の精神的成長も早熟でみんな自立してるなー。作中、狂気みたいな表現がところどころにあるけど、狂気というより芯の強さを突き抜けた頑固さと覚悟みたいな解釈のがしっくりくるかも。とにかくこの世界、大人も子供も大人です。達観しすぎ。
ところでベガーと同一化することをダイブではなくシンクと呼ぶのは、人間よりもベガーに比重がありそうなイメージで、好みな表現です。

第二部。何で日本人的名前の登場人物しかいないのかわからなかったけど、さくらの登場でようやく納得。空気読むAIって。そりゃ日本だ。移住先の惑星名からしても移民プロジェクトは日本発だろうな。といっても三部でこれもひっくり返るんだけど。どうでもいいけど女性型はギュノイドあるいはガイノイドいってほしいです、SF作品なら。もしくは外見だけ女性で中身は男かもしれない。きっとそうに違いない。すごいAIみたいだし。
シンゴやスイレンはすでに3年前に完成されてた感があるので、ダイスケ、ケンの成長が目を引く二部。あるいはもともと彼らも成長してたけど見せ場がなかっただけか。キリナの登場はテルとの対比的に。このキリナ12歳は3年前のシンゴ12歳に負けず劣らず完成されてる感。現代日本の15歳と一緒に考えたらこの作品は読めないですね。犬猫的成長速度。社会の熟成やビジュアル的な面も含めてそういう世界なんでしょう。
親ベガー、反ベガーが組織立ってきてて、3年前に比べて空気ピリピリ。差別問題だから当然だけど、思想の反作用って怖いね。アパルトヘイトとかちょっと考えます。
目的地タカマガハラⅡはまだちょっと遠い存在。

第三部。目的地直前。一部後といい二部後といい、材料はあるのであとは想像にお任せします的後日譚でくくってあるのは、そういう演出なんだろうけど、まとめて出版されてるがゆえにあまり余韻を感じられないのはどう判断したものか。シンゴもさぞ苦労したろう。
ますます重要度の増すシンゴのポジション。バランス感覚難しいなあ。でも自覚を嫌う主人公。スイレンから無茶要求されて面倒臭い気分だろうな。こういうところで子供らしさが残ってるのはちょっと可愛いけど。
とまあ、ここまではよかったのだけど、収束に向かうにあたってかなりやっつけ感のある伏線回収。地道な努力で政治的に話を進めてきたのに、結局は動いたもん勝ちなのかと。キリナも薄いし。後継ヒロインよりも裏ヒロインが目立つと下巻の表紙は誰だかわからなくなりますって。

要するに、子供視点の謎の生命体絡めた政治・社会面にアプローチするSFでした。運営とか差別問題とか心構えとかそういう。アンドロイドもベガーも個として認めるか。できればシンゴ、スイレンだけでなくウィルトトやミクメック、あるいはアンドロイドに感情移入するつもりで読むと楽しめるんじゃないかと。ただ、船長は21年前にまずマザーベガーより先にさくらを起こすべきでしたね。どんだけ箱入りだ。それ以前に出航時に船長とさくらで冗長構成にしとくべきだったというべきか。ひどいな、日本人。まさかそれがテーマか。

エピローグは普通に読めば共生がこなれた世界。シンゴとキリナの七親等か。若い乳母も傍系とかかな。あるいはコトリやテルのようになった新世界かもしれない。まあ想像するのは楽しかろうということで。

テルは願った。

キリナは誓った。

2分冊で出版したのは結果正しかったのかなあ。帯のキャッチはセンスあると思うけど、やっぱり3分冊で中巻キリナ下巻スイレンのが綺麗ぽい。スイレンは○った。何を入れたらちょうどいいかな。笑?

ラノベ作家としてのイメージも残しつつ、ハヤカワJAらしい作品でした。あまり売れてなさそうなのはちょっともったいないかなあ。ハヤカワじゃ仕方ないか。でもこの方向性でがんばってくれるならこの作家さんは応援したいところです。2、3作品も書けばこなれて本格SFとかいい感じになりそう。
ていうか、ブログ更新マメすぎやしませんか、瀬尾つかさ氏。とりあえずぷよぷよ好きなことは理解しましたけども。

2011年9月 5日 (月)

大奥のサクラ 現代大奥女学院まるいちっ!

角川スニーカー文庫 日日日著

初読のメジャー作家さん。多少変態チックではあれども話に聞いてたほどには変でもなかったかなー。むしろ個性がありつつも読みやすい文章で、ベースクオリティ高めかと。シリアスな面もあり、多少間が抜けてるところもありつつ、それもやっぱり読みやすくすらすらと進行。

基本は戦う異能女子のお話。桃山時代の延長でこうなった、みたいな。あとがきでIfモノっぽいようなスタンスみたいなこと書いてたけど、時空間爆弾とかファンタジー入ってるので、どっちかというとマーヴルみたいなポジションでしょう。黒船も来てないようだし、隔離されたセカイであることはまあ確か。
そこに鈍感主人公秀影をからめてラブコメったりシスコメったりとラノベっぽい展開を交えつつも、基本がどろぐちょなお話なので女まみれのわりにはあまり艶っぽい感じはないかも。でもおかげでストーリー性とエンタテイメント性がしっかり両立していてお話に引き込まれました。アニメに頼らない売れっ子の作家さんはやっぱり違うんだなあと思ったり思わなかったり。

ただし、よく死ぬし、血肉が飛び散る表現に免疫がない人にはあんまりお勧めできないかも。将軍と絲妃の毒っぷりはラノベというにはビビッドすぎる。でもま、たまにはこういうのもいい刺激。

まるいちっ!というからにはきっと以下続刊だと思うけど、劇終と書いてあるのはちょっと気になり。どっちですか。

2011年9月 1日 (木)

"夕顔" ヒカルが地球にいた頃……2

ファミ通文庫 野村美月著

待ちわびていた頭中将がついに登場。てことで、玉蔓の母ちゃんのお話です。この作品で玉蔓がどう扱われるか、今からそわそわです。さすがに娘はなさそうなので妹分的なそれかなぁ。あるいは母ちゃん再婚で再登場時に名前変わって出戻りとかも考えられるか。と、先が楽しみではあるのだけど、なぜか先行して近江だけゴシップ担当として既に登場ってのはいったい。玉蔓と一緒に出そうよ。それにちょっと暗躍しすぎ感が。もっとアホの子のが近江のイメージに合ってるのに。

ということで始まりました、左大臣家編。

頭中将モチーフの頭条先輩。何だかムダに凛々しい。作中では葵とは再従姉妹になった模様。てことは左大臣どうなる?ともあれ、夕雨を捨てた風の展開は元をリスペクトされていてちょっとキます。しかし意地悪そうで実は愛に溢れてるとか、キザったらしいなあ。葵溺愛っぷりはラノベ風アレンジでスパイス効いててちょっと可愛いです。ヒカルとの関係が深いだけに、今後の活躍も期待して応援したくなりますね。

夕顔モチーフの夕雨。現代風にすると引きこもり扱いになるのは仕方ないか。特に何するでもなく救いを待つだけの子ってところはこちらも原作リスペクトでいい感じ。
引きこもるにあたって、いじめの背景とか怨霊とか、学校に渦巻く負の感情が非常に上手く表現されているなあと。怨念を怪物として概念化して怖れるその感覚って、実際にこういう経緯で怨霊として認識されるんじゃなかろうか。その怨霊は六条御息所でなく夕雨に転嫁されてちょっとアレンジ入ってるけど、夕顔の見せ場なので怨霊ネタは外せないですよね。わかってらっしゃる。

てな具合で、いじめ解決とかヒカルと頭条の関係とか1巻以上にストーリーがよく練られていて、今回も面白く読めました。ヒカルは人のつながりを明確にしてくれるというポジション的な部分以外では実に役に立ってくれなかったけど、是光は相変わらずいい子ぶり発揮で夕雨を救っちゃうわけですね。やきもきしますね、ぱーぷる姫さん。やっぱり裏ヒロインだなあ。
しかしヒカルはいじめっ子の女の子たちをフォローするくらいの言葉を残せなかったのかなあ。作品的に彼女らを救ってやれるのはキミだけでしょう。見せ場手放しちゃダメですよ。

ということでやっぱり葵はただの前座だったようですね。不憫な子。

次巻は若紫。原理主義的には9歳でも5歳ほどに見えるわけですねきっと。女児になるか幼女になるか、さて。
一応正順のようなので、すると4巻で時代錯誤のブスってことですか。がんばれ是光(笑

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