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2011年6月 6日 (月)

アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う

ハヤカワ文庫FT ゲイル・キャリガー著 川野靖子訳

英国パラソル奇譚1巻という位置付け。原題「Soulless」がなぜこんなタイトルになるのかというと、それが日本なんだろうと解釈する他なく。

作者はイギリス系のアメリカ人らしい。原著だけでなく訳者の解釈ががんばってくれてるおかげで、雰囲気出ていていい感じ。実際の19世紀ロンドンの上流階級がこうなのかどうかは知らないけど、それなりに説得力ありそうにはうかがええます。翻訳って言語力だけでなく背景に対する理解力や知識が大事ですね。
そんなベース舞台に人狼と吸血鬼が受け入れられた世界でマッドサイエンティストと戦うみたいなところは実に王道。世界は産業革命の時代です。マッドサイエンティストってだけで勝手に輝くよ。
そしてラブコメ。作法こそ違えどラブコメ。マコン卿かわいい。

主人公、アレクシア女史。魂を持たない反異界族に生まれついてしまった26歳オールドミス。ああそうですね、普通10代で結婚して子供産みますよね。26なんかお肌の曲がり角をとっくに過ぎ去った売れ残りもいいところです。現代社会が病んでる証拠です。
でも知性と激しい気性と濃い顔とスタイルと貴族のプライドを備えた女性は、現代人の感覚でフィルタリングされると魅力的に映ってしまうのです。当時の感覚を持って接したいところです。一読者としてはあくまでもオールドミスとして扱わないと。
反異界族の設定についてはちょっと微妙。この能力だけで異界族を狩れるとは思えず。ご先祖様たちはどうやってたんだか。

ウルフパックアルファ、マコン卿。スコットランド出身のBUR捜査官で、尻に敷かれるのが好きな筋骨隆々なボス犬くん200歳。どことなく初心。過去、好みの雌と出会えなかったであろうことは想像に難くなく。アレクシアさんに尻尾振るのは必然ね。普段は紳士でいるけど、興奮すると訛りが出るとか成り上がり的符号でもあり。ハリネズミなんてネタも含めて、色々とアメリカンな設定だな。

基本この2人を中心に、夜会やら失踪事件やらであれやこれや。冒険部もいいけど、何といってもラブコメ部がナイス。上流階級ならではの駆け引きを世界観に合わせてうまくアレンジされてるのがいいなあと。シチュエーションに合わせてああいう行動。かく在りたいものです。自分みたいな庶民には無理だ。

吸血鬼から参戦のアケルダマ卿とかナダスディ夫人たちはこの配役だとどうしても脇役か。でもアケルダマ卿はいいキャラ。アイヴィと一緒にエキセントリック担当で頑張ってほしいです。そのアイヴィの年齢が不詳なのはちょっと気になるところ。親友はオールドミスではないのかと。じゃあ妹たちと同年代くらいか。若いうちにいい伴侶見つかるといいね。

男の反異界族はいるような話だったけど、どうやらこの国では唯一の存在らしいので、シリーズ的にそういう展開が待っているのかな。1巻では満月以外それっぽいエピソードなかったけど、その昔異界族を狩ってたというその実力を続刊で見せてくれたらいい冒険劇になりそです。今後楽しみなシリーズということで。今年のハヤカワは当たりが多くていいな。

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